こんにちは。講師のカズです。
この記事では8人制サッカーにおいて、「3枚のディフェンスでビルドアップを行う方法」について解説します。
最初に前提として「フォーメーションは3バックなのだけれど、変則ではなくどうしても3枚でビルドアップしたい」という方向けの記事内容となっています。
8人制サッカーではどうしても3枚でビルドアップを始めるとハマりやすい傾向がある事を前提に読んでみてください。
今回の内容はスペインで言うところの「サリーダ・デ・バロン」(Salida de balón)
僕はこれを「ビルドアップの始まり」と呼んでいるのですが、ショート・ロングを問わずパスをつないで攻撃を組み立てるための最初のフェーズになります。
>>参考:サッカーの基本構造【4つの局面と11のサブフェーズ】戦術の基礎
僕が実際に行なっているケースも含め、8人制サッカーにおいて3-3-1のフォーメーションを組んでビルドアップを行う際に注意すべき点、そしてボールを前進させる方法について考えてみたいと思います。
動画で解説
1.8人制サッカーにおける3バックでのビルドアップの問題点
最初にディフェンスライン3枚でビルドアップを始める場合の問題点について解説します。
①相手が1トップだとハマりやすい
8人制サッカーのフォーメーション。
これは地域や年齢によって異なると思いますが、基本的にワントップかツートップに分類されます。
■ワントップの例
・3-3-1
・2-4-1
■ツートップの例
・2-3-2
・3-2-2
後述しますが対戦相手が2トップの場合、3枚だとビルドアップしやすい傾向があります。
反対に相手がワントップの場合。
基本的に高い位置からのプレスに対して自チームの3枚のディフェンスがハマりやすく(ボールを奪われやすく)なりますね。
3-3-1に限りませんが、どんなフォーメーションでもマンツーマン気味に来られると、ジュニア年代においてはビルドアップの難易度がかなり高くなります。
②GKを絡めた方法はリスクが高い
どうしても3枚のディフェンスでビルドアップしたい場合、ゴールキーパーとセンターバックを横並びにする方法があります。
ただし、ゴール前を大きく開けてしまうリスクと、GKにとってメンタル的にも大きな負担となるため注意が必要です。
ビルドアップに積極的に関わりたがるメンタルを持っていれば良いですが、GKの選手への要求が過度になるとミスをした時に大きく自信を失うリスクがあります。
この辺はGKの選手のメンタリティと、要求度を調整する必要がありますね。
僕はあまりやりません。
2.ハイプレスに対するビルドアップのポイント
高い位置からのプレスでマンツーマン気味に来られると難易度が上がります。
そうすると失点のリスクが高まるので「全員を絞らせてロングボールを蹴る」パターンが多くなりますが、それだとセカンドボールの拾い合いになるのでやりたくないという方も多いと思います。
ビルドアップに関して相手のフォーメーションや自チームとの噛み合わせ、プレスのかけ方などケースバイケースで詳細に述べて行くと無限にパターンを考えていかないといけないので、以下に解決するためのコンセプトとなる部分を紹介します。
①GKがロングキックを蹴れる場合
全てを必ずショートパスから始めると相手も狙いやすくなります。
そこで最初の配給をシュートやロングを使い分けて相手に的を絞らせないようにする、という方法もあります。
ロングパスを入れることで相手のSHが後方を気にするようになるので、味方のSBがコントロールしてプレスを受けるまでの時間を作ることができます。
当然かけ引きやフェイントが必要になります。
この辺は自チームのフォーメーションや、選手の最初の配置(スタートポジション)によって狙い所が変わります。
前線からのプレスを狙っている相手に対して、全てをショートパスで始めるとテクニック勝負になる傾向があります。
ゴールキックやGKが持ったら必ずセンターバックにつけるとなると相手も前がかりになりやすくなり、ドリブルで剝がせれば成功するといったテクニック勝負。
当然、運ぶドリブルやコントロールオリエンタードのテクニックは必要ですが、ここでは組織としてどうするかについてフォーカスしています。
②スタートポジションからの動かし方が重要
ロングとショートの使い分けが重要ということが分かったところで、次にサポートする選手の動かし方です。
前線からのプレスの場合は基本的にマンツーマン気味になるので、動きがないと全てハマってしまいます。
上記の図はサポートする選手の動かし方のイメージです。
(※この辺は図解ではイメージが掴みにくいですがご了承ください)
最初のパスが出た後に、ポジションが固定されたままだったり、ボールホルダーがドリブルせずにパスしか狙っていない状況になるとハマります。
そこでスタートポジションを設定し、パスカットを狙っている敵から離れる動きや空いたスペースを活用するなどのモビリティを発生させてプレスをかいくぐる方法です。
③動き方がパターンになるとハマる
動き方やパスの優先順位にはいろんなパターンがありますが、これらの動きが決め事になると機能しなくなる可能性が高いです。
ここが一番難しいポイントですが、選手たちが原理原則を理解しながらプレーすることができればパターンのように見えてパターンではない動きが可能になります。
繰り返しますが、これを選手に落とし込むのは正直難易度が高いです。
僕自身、毎回ここで一番苦労します。
しかしこれがないと決まり切った動きになってしまい、相手のプレスが変化してくると対応できない現象が起こります。
3.実践的な例
最後にスタートポジションから数的優位を作る方法について解説します。
この方が現実的で利用しやすい考え方かもしれません。
①2トップに対しては3枚は有効
相手が2トップの場合はセンターバックが運ぶドリブルでFWを引きつけることにより、サイドバックをフリーにできる可能性が高いです。
※あくまでも可能性なので相手のプレッシングの方法により異なります。
②CBをサイドにずらして行う
相手のワントップに対してどうしても3枚で行いたい場合は、センターバックをどちらかのサイドにずらして数的優位を作る方法もあります。
サイドバックを高い位置へ上げて、センターハーフを下ろしCBと2枚で行う、もしくはCBをボランチの位置へ上げてSBの2枚で行うというような変則をしたくない場合の方法です。
CBをサイドのずらすことで基本的な3バックの概念は変えずビルドアップを行うことができます。
③押し込んだ状態での3枚は有効
ゴールキックやキーパーからのスタートではなく、相手陣地へ押し込んでいる状態では可能かつ有効です。
この状態で2枚だとDFどうしの横パスをカットされた時にカウンターを受けてしまいますが、中央に一人いる事によりリスクを軽減できます。
以上、8人制サッカーにおける3バックでのビルドアップの方法について解説しました。
3枚だとどうしてもハマりやすくなる傾向があるので、上手く行かない場合は変則型も試してみてください。
正直、ビルドアップの方法はケースバイケースになりやすく全てを網羅して解説することはできません。
しかし大まかな方向性を理解して、そこから細かな問題を考えることで解決の糸口が見つかると思いますので、ぜひこの記事を参考にして頂けたら幸いです。