こんにちは、講師のカズです。
ジュニア年代のサッカー指導では、選手の人数確保がとても重要です。
しかし、受験や他競技への転身、様々な理由で選手が辞めてしまい、思うような人数でトレーニングができないという悩みを抱える指導者の方も多いのではないでしょうか。
読者の方から以下のようなご質問を頂きました。 以下、質問の内容です。
クラブで5年生の指導をしているのですが、今年度は様々な理由で5人が辞めてしまい、現在は10人で活動しています。人数が少ないためドリル練習は行いやすいのですが、8対8の実践的な練習ができず、戦術的な理解力の成長に悩んでいます。
同じように、以下のような悩みを持つ指導者の方も多いのではないでしょうか。
・人数が少ないと戦術的な練習ができないのではないか
・5対5では8人制サッカーにつながらないのではないか
・個人技術に特化した指導に切り替えるべきか迷っている
僕自身、過去には12人から13人の1チーム編成で指導していた経験がありますので、質問者さんと近い環境での指導を経験しています。
この記事では、人数不足の状況でも戦術的な指導を行う方法と、サッカーの本質を理解した練習法について詳しく解説します。
この記事を読めば、人数に関係なく戦術指導ができる考え方が身につき、子どもたちの成長をサポートできるようになると思いますので、最後までご覧ください。
1. サッカーの本質を理解する

①サッカーの本質とは何か
サッカーの本質とは、それがなくなったらサッカーではなくなってしまうものです。
具体的には、ボール、敵、味方、ゴール、限られたピッチ、時間的制限などの要素が挙げられます。
これらの要素のうち1つでも欠けると、それはサッカーではなくなってしまいます。
例えば、敵がいないトレーニングや、ボールがない練習は、サッカーの本質を満たしていないということになるのです。
②人数が変わってもサッカーの本質は変わらない
過去には「8人制はサッカーじゃない」という声を聞くことがありますが、僕の考えでは8人制も5対5も、サッカーの本質が担保されている限りはサッカーであると言えます。
11人制から8人制、そして5対5になったとき、何が変わるのでしょうか。
実は、変わるのは複雑性だけなのです。
人数が減れば戦術や判断がよりシンプルになり、人数が増えれば複雑性が増していきます。
③原理原則は人数に関係なく共通
サッカーにおける原理原則は、人数に関係なく変わりません。
例えば、「パスを受けた時に相手のプレッシャーを受けたら、ボールを動かす」という原理原則は、4対2のロンドでも5対5でも8対8でも共通して使えるものです。


2. 人数不足でも戦術指導ができる理由

①フラクタル的な考え方
サッカーをフラクタル的に捉えることで、人数に関係なく戦術指導が可能になります。
フラクタルとは、部分と全体が同じ構造を持つという考え方です。
5対5の中でも、8人制サッカーにおける原理原則を落とし込むことができます。
なぜなら、原理原則は人数が変わっても変わらないからです。
②複雑性の違いを理解する
確かに5対5では8対8よりも複雑性が低くなりますが、それはトレーニングの質が下がるということではありません。
むしろ、シンプルな状況だからこそ、原理原則がより明確に見えてくるのです。
僕の経験では、12人構成でミニゲームを行う際も、常に原理原則を指導することで、試合でも同じようにプレーできていました。
③パターン練習との違い
8対8でシステム的な練習ができていたとしても、それがパターン練習になってしまっていた可能性があります。
原理原則を理解していれば、人数が変わっても対応できるはずです。

3. 具体的な指導方法

①原理原則を一貫して指導する
どのような人数の練習でも、常に同じ原理原則を指導することが大切です。
僕の場合、4対2のロンドでも5対5でも、同じ言葉で同じ原理原則を伝えています。
例えば、守備のプレッシングにおいても、7対3のポゼッションや4対4+2サーバーの中で、アプローチ、カバーリング、スライドなどの基本的な原則を落とし込むことができます。
②トレーニングマッチで補完する
10人という人数の制約がある中で、複雑性を高めるためにはトレーニングマッチを積極的に活用することが効果的です。
普段のトレーニングで原理原則を身につけ、試合で複雑な状況に対応する力を養っていきます。
まとめ
①サッカーの本質は人数に関係なく変わらない
②原理原則を理解していれば、5対5でも戦術指導は可能
③複雑性は下がるが、それは指導の質の低下を意味しない
④トレーニングマッチで複雑な状況への対応力を養う
⑤個人技術特化も有効な選択肢の一つ
この記事では、人数不足の状況でも戦術指導が可能である理由と具体的な方法について解説しました。
重要なのは、サッカーの本質と原理原則を見失わないことです。
人数という制約はありますが、本質的な部分さえしっかりと指導していれば、子どもたちは必ず成長してくれます。
皆さんの指導現場でも試してみてください!