【子どもたちにサッカーの普及は上手くいっているか?】

JFA、(公益財団法人)日本サッカー協会のホームページを見ると2017年度の小学生(4種)の登録者数は279,134人。2018年度には271,023人です。

日本全体としては若干の減少はありますが、少子化の波がここにもきています。
ただ、僕が活動している「市」は子どもの数は増加しているのですが、サッカークラブの数は減少しています。

これが何を意味しているか?

単純に『普及』が上手くいっていない

子どもが「サッカーを始めたい!」と興味を持った時に「指導者やクラブが選手にすること」は何でしょうか?
「スポーツの厳しさを教える?」「努力することを教える?」「忍耐を学ばせる?」

いずれもNOです。

この段階では「単純にサッカーをひたすら楽しむことだけ」が重要です。
専門的にいうと『内発的動機づけ』がまだできていないので、子どもはまだ「興味を抱いているだけ」の段階です。

クラブに入会後すぐにハードに練習させる

最初に「ただ興味を持っただけ」なのに「すぐにハードに練習させる指導者がいる」のも事実です。
「最近の子は根性がないから」といって、体験に来た子どもにもハードなトレーニングを課します。

嘘のような話しですが、実際に今でもある例です。

これを我々大人にあてはめると「不条理さ」がわかります。
「少し趣味でギターを始めようとしたら、毎日指から血が出るまで練習しろと言われた。」
「釣りに興味が沸いたら、魚をしっかりとさばけるようになるまで包丁の技術をトレーニングさせられた」

最初の興味とはかけ離れて「もういいや」と思います。

最初の段階はサッカーを好きにさせるだけで良い

子どもがサッカーに興味を持った最初の段階は、単純な「楽しさ」で十分です。
身体を動かすのが楽しい、友達と一緒にいるのが楽しい、コーチが面白いから楽しいなど。
もちろん、ルールづくりや話を聞く姿勢など最低限の事は要求しますが、基本的には「今日も楽しかった。早く次の練習にならないかな」と思わせることが大事です。

そこから「もっとサッカーが上手くなりたい」「試合に勝ちたい」などの意欲が沸いてくるかどうかは本人次第ですが、その芽が育つのをしっかりと待ちます。

レクリエーションか競技か? 2つに分かれて良い

子どもがサッカーに興味を持って好きになった次の段階では「このままレクリエーションとして続ける」方向と、「競技として続ける」方向の2つになります。

競技として続ける場合は、より専門的な部分が出てきますし、楽しいことだけではありません。

この2つの方向、どちらに進むのが良いとか悪いという話ではなく、子どもが主体的に決めれば良いのです。

競技に進んだら「楽しさの質」が変わる

競技としてのサッカーに進んだ場合は「サッカーの楽しさの質」が変化します。
最初は少し単純だった楽しさが「達成感や勝敗、仲間との協力、自己実現」など高次の楽しさに変わってゆきます。

つまり内発的動機づけが根付き、自分自身で高めようとする力が内側から沸き起こります。
それゆえに「少々きついことも頑張れるし、良いことも悪いことも含めてサッカーを楽しむ状態」へ進んで行きます。

サッカーの普及とは?

このように考えると「サッカーの普及」とは、子どもが最初にサッカーに興味を持って好きにある段階です。
全ての始まりはここからです。
ここから先は個人個人進みたい方向へ行けば良いのですが、まずは最初の入り口の「普及」の部分。

ここはジュニア年代の指導者にとっては必ず行わなければいけない仕事です。

この「普及」の段階を飛び抜かして、サッカーに興味を持っただけの子にいきなり過度な要求をしたり、楽しくないものを提供していてはサッカー人口は減少してゆくばかりです。

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