こんにちは。講師のKazuです。
小学生の子どもが「サッカーが楽しい」という場合、その「楽しさ」とは年齢やレベルに応じて異なります。
同じようにサッカーをまだ始めたばかりの子どもでも、サッカーに対する動機は違います。
楽しさには2つの段階がある 〜最初は遊び〜
意外と理解していないと難しい、もしくは「楽しさとは何か?」を深く考えていないと「選手が伸びない」といった現象が出てきます。
サッカーの指導に熱心になるあまり、基本的なことをすっ飛ばしてしまうと大きなミスになるので、サッカーキッズを持つ保護者の方、新米コーチはまず「楽しさをは何か?」と考えることから始めましょう。
ズバリ、楽しさに2段階あります。
最初の段階は「遊びの延長」のようなもの。
特にサッカーを始めてばかりの子どもにとっては、サッカーとは「ただの遊び」です。
友達とサッカーボールを追いかけて楽しく走り回る。
「遊び」なので全ては自由で、自主的に取り組むことができます。当然「遊び疲れたら今日は終了」ですね。
子どもがサッカーを始めた段階はこの「遊びである」というコンセプトはとても重要になります。
そしてそこから「サッカーが好き」になります。
反対はありません。
サッカークラブ入ろうと友達とボールを蹴ろうと、まず最初は子どもにとってサッカーは「遊び」なのです。
遊びとは何かを理解する
サッカーを始めたばかりの子どもにとって、「サッカーは遊びである」と解説しました。
では、「遊び」にはどのような特徴があるのでしょうか?
いくつかの特徴を挙げてみます。
①主体的、自由にできる
②自分で考えたり工夫したりできる
③誰かに管理・干渉されない
④飽きたらやめれる
こういった大きな特徴があります。
大人の皆さんの好きな遊び、趣味なんかもこのように定義できるのではないでしょうか。
そしてここからサッカーを始めたばかりの子どもに対するアプローチが見えてきます。
つまり、サッカーをする上で①〜④に取り組むことです。
これを繰り返すと子どもはますますサッカーが好きになって行くでしょう。
この「サッカーを遊びとして好きになる」のが第一の段階です。
そしてこの段階を経験しながら次の段階へ進むのですが、もし最初の段階でサッカーを好きにならなければその子どもはサッカーを続けたいとは思いません。
これは小学生の低学年や幼児などの指導を行う、もしくは保護者の方にぜひ知っておいてほしい部分ですが、まずは「遊びとして好きになる」というのが重要なポイントです。
子どもにサッカーに真剣に打ち込んで欲しいと思いすぎると、ここでつまづいてサッカーに興味を示さなくなります。焦らず、まずは遊びの楽しさです。
第2の段階 〜楽しさの質が変化する段階〜
次に、最初の段階で「遊びとしてのサッカーの楽しさ」を獲得した子どもたちは少しづつ次の段階へ進みます。
ここから「意識の変化」とともに「楽しさの質の変化」が起こります。
最初は「遊びだった」ので勝ったり負けたり、上手く行ったり行かなかったりして楽しんでいます。
しかし、それを継続して行くとだんだん、勝負に対するこだわりが出てきます。
そうなると「勝つためには」「上手くなるために」「もう少し努力をしよう」という段階に入ります。
このような心境の変化は、子どもにとってサッカーは「楽しいものからそうでないものに変化した」のではなく、「楽しさの質が変わった」ということです。
大人でいうと、最初は「趣味で釣りを始めた」のですがのめり込んでいくうちに「もっと上達したい」という心境になり、道具を揃え、しっかりと勉強し、時間とお金を使って釣りに出かけるとうようなことをイメージしてもらえるとわかりやすいと思います。
もしそこから「プロの釣り師になろう」となった場合、明らかに楽しさの質が変化していますよね?
質の高いレベルの楽しさとは何か?
最初はただの遊びだったサッカー。その楽しさは変化しました。
ではこの段階でのサッカーの楽しさとはどういうものでしょうか?
いくつか例を挙げてみます。
①達成感
「できなかったことができるようになること。努力して試合に勝つ喜び」
②仲間と協力すること
「個人ではなく、仲間と何かに真剣に取り組む喜び。勝敗における価値の共有」
③自分を成長させる喜び
「努力によって自分が変化して行くこと」
④勝利すること
「ライバルに打ち勝ち勝利することの喜び」
⑤目標を持つこと
「大きな目標へ向かって進むこと」
これ以外にもいくつかあると思います。
このように、最初は「遊びだった楽しさ」も「質の高い楽しさ」に変化して行きます。
そうすると、子どもたちはサッカーに熱中するようになるのです。
共通しているのは内発的動機づけ
サッカーコーチの勉強をしている方は聞いたことがあると思いますが、『内発的動機づけ』という概念は、子どもにスポーツを教える中でとても重要な概念です。
前述の「遊びや楽しさ」は全て、子どもの「内発的動機づけ」による部分がとても大きいです。
どの段階であってもこの内発的動機づけができていないと選手は自分から進んでやろうとはしません。
つまり小学生年代に限らず、常に子どもの成長度合いやレベルを見ながら、その子にあった内発的動機づけを行う必要がある、ということです。
実際の現場では
私の場合、この「楽しさの質の変化」には特に気を使っています。
最初は「サッカー自体の遊びの楽しさ」を伝え、そこから「上達したいという気持ち」が出てきたら次のフェーズにゆっくり進むという方法をとっています。
そこでも少しテクニックがいるのですが、いずれにせよ、子どもたちがサッカーを好きになって、より専門競技としてレベルアップを図るようになる、というのがサッカーコーチの最初の仕事です。
サッカーの普及から始まって、競技性へと導く。
そういったことを理解していないと、子どもたちがサッカーから離れていってしまいますね。
もし、「自分のクラブに選手が集まらない」と悩んでいる方がいれば、「楽しさをレベルに応じて伝え切れているか」ということを見直すのも良いかもしれません。