少年サッカーにおいてコーチのモチベーションは「子どもたちの成長を実感すること」が大きいと思います。
ただ、上手くすることができるコーチとそうでないコーチがいるのも事実です。
今回は「教えているけど上手くならない現象」について解説します。
✅一生懸命教えているけどなかなか子どものスキルが上がらない
✅今年はチームのレベルが低いから教えても上手くならないかなあ
✅そもそもサッカーコーチの仕事って?
✔︎記事のテーマ:「コーチが教えるというスタンスでは上手くならない。」
①少年サッカーコーチの仕事はできるようにすること
「サッカーコーチの仕事」という言葉を聞いた時に最初に浮かぶのは「サッカーを教えること」というイメージが強いですが、これは正解のようで正解ではありません。
しかも、このニュアンスでいくと遅かれ早かれ「子どもが成長しないコーチ」になってしまいます。
私が考えるサッカーコーチの最大の仕事は次の通りです。
選手ができなかったことをできるようにすること
シンプルですが、25年の指導経験と他のサッカーコーチをよく観察した結果「選手が上手くなるようにさせれるコーチとそうでないコーチ」の違いは「教えれる」ではなく「できるようにすること」だと結論付けています。
・「教える」→コーチ側のアクション
・「できるようになる」→選手側の変化
つまり「教える」というのは「コーチ側のアクション」でベースがコーチにある。
反対に「できるようになる」というのは「選手側の変化」です。
これが何を意味するかというと「選手が上達することにコミットする」ことが少年サッカーコーチの一番重要な仕事で、「教える」というのはその先にある「できる」ための手でしかないということです。
サッカーコーチの仕事は「個人個人のレベルは関係なしに、選手が上達するという結果が全て」です。
②教えてるけど上手くならないサッカーコーチの問題点
教えるためにはその内容、つまり「知識」が必要ですが、当然サッカーコーチは「多くの知識を得る」ことは必須です。
しかしそれだけでは不十分で「その知識を使って選手のレベルアップを図ること」が最も重要な課題ですよね。
いくつかのコーチの問題点を考えてみます。
A.教えているけど選手ができないという場合、問題が選手側にあるという意識
これはよくあるコーチ側の意見ですが
「教えてるけど上手くならないんですよ。サッカーが本気でない子が多いからかなあ」
「今年のチームはレベルが高くないから、教えてもなかなかできない」
この言葉を使う指導者はコーチ失格です。
皆さんもう気づいていると思いますが、責任が選手側に移ってしまっています。
この心理の裏側にあるのは「自分の指導は問題ない」
そもそも「サッカーが本気でない」のが原因であれば、それを良い方向に導くのもコーチの仕事です。
B.教えることが目的化して自己満足に陥る
勉強熱心な指導者ほど、知識に頼りすぎる傾向があります。
「自分が学んだ知識を選手に教えよう」
「最新の戦術を選手に教えよう」
それ自体は悪くないですが、選手が必要としている「今学ぶべきこと」と乖離している場合は意味のない指導になってしまいます。
C.何らかのアプローチした後の選手の反応を観察できていない
選手に何かを教えるということは、それによって選手が変化することを期待しています。
しかし、アプローチ後の選手の反応や変化をよく観察しないと、自分が提供したものが良かったかどうかがわかりません。
コーチにとって観察力は重要なスキルですが、意外とそれができていなくて「教えているけど選手ができない」という負のスパイラルに入ってしますコーチは多いです。
③少年サッカーを指導する時は「教える」ではなく「つかませる」コーチングが必要
結局は「教えること」の先にある「選手がコツをつかんでいるか」にフォーカスする必要があります。
むしろ「知識を与える」のではなく「できるようになってほしいスキル」に対してその感覚を「選手自身につかませる」ためにどのようなアプローチをしないといけないか?
といった部分を深く掘り下げる必要があります。
これはテクニックでも戦術面でも同じです。
例えば
「インステップキックの蹴り方を教える」
「2対2での崩し方を教える」
にしても、教えるのは知識があれば誰でもできます。
ただし、そのあとに「実際に選手ができるようになる」には「教えるだけでは不十分」ということは想像できますよね。
「どうやったら選手ができるようになるのか?」
こうすると意識は選手側を中心としています。
しかしこの「できるようになるための方法」はコーチ自身でつかむ必要があります。
もし「選手がコツをつかむ方法を教えてほしい」とコーチが思うなら、残念ですがコーチとしての成長は望めません。
ここは様々な知識や経験が複雑に絡まりあっている部分なので、コーチ自らつかむしかないのです。
そのために日々知識を入れて、選手をよく観察し、様々なアプローチを試みながらコーチ自身で自分の指導スタイルを確立して行くことが必要です。
これだけサッカーコーチに関する情報が溢れているにも関わらず、一生懸命勉強しているにも関わらず、唯一の方法がない。
全てのサッカーコーチが「選手を上達させることができるようにはならない」という理由がここにあります。
④まとめ
今回は少年サッカーの指導において「知識を教えるだけでは不十分で、つかませる指導が重要」ということについて解説しました。
サッカーコーチの仕事はテクニックや戦術、メンタル、フィジカル、人間性、全てにおいて選手を確実にレベルアップさせることです。
そしてこの「選手のレベルアップという結果に対して全責任を持つ」ことが重要です。