こんにちは、講師のカズです。
いつもは講義形式で様々なことを解説していますが、今回はブログ記事です。
気軽に読んでください。
ジュニア年代のテクニック指導において、最近は新しいアプローチを行っています。
「どのようにプレイするか」といったキーファクターを伝えるのではなく、「目的や意識すべき点を設定」して、その目的達成のためのソリューションは、選手自ら探索するといったアプローチです。
この記事では、目的を軸にした指導アプローチの利点と実際の練習例について解説します。
子どもたちにテクニック指導しているけども『何か上達が感じられないな』『自分の指導の方法が悪いのかな』と思う方はぜひ試してみてください!
1. 技術指導の新しいアプローチ
僕の今までの技術指導では、選手に「正しい動作」を繰り返し指導することが主流でした。
そのために言語的なアプローチを行い、細かなキーファクターを選手に伝える。
しかし最近では、「目的を設定する」ことを重視しています。
目的を示すことで、選手が自ら解決策を考え、実行できるよう促すためです。
たとえば、パス&コントロールの練習では、以下のような目的を設定します。
目的:ボールを受けてから味方に渡すまでの動作をできるだけ早く行う。
このように目的を設定します。
そして、その目的を達成するためのポイントやコツを選手に伝えるのではなく、目的を達成するための手段は何でも構わないといった感じで指導を行っています。
2. 実際の練習例
①パス&コントロールの練習
目的を「素早くパスを渡すこと」に設定すると、以下のような効果が得られます。右足でのコントロールをミスした場合、左足で即座に対応する方法を模索する。
・右足でのコントロールをミスした場合、左足で即座に対応する方法を模索する。
・ボールが浮いてしまった場合、次の動作で補うための工夫を試みる。
このように、選手が目的を達成するために状況ごとに異なる解決策を見つける力が育ちます。
つまり、同じ動作を正確に繰り返すのではなくて、その都度起きるイレギュラーな現象に対して適応する力を育むのが狙いです。
サッカーの試合では、常に一定の条件のもとプレイするわけではなく、微妙に変化する環境に対して適応する力が求められます。
これは戦術でもテクニックでも同じです。
②リフティング練習
他にもリフティングなどの練習においても少し工夫をしています。
従来の「回数をこなす」練習に対し、以下のような条件を加えます。
目的:リフティング時、必ずボールを頭より上に上げる。
これにより、選手はボールの落下地点を読み、正確に足を合わせる技術を磨くことができます。
ボールを頭より上に上げることで、その落下地点を予測して、体の位置や体制を整えないといけません。
また蹴り上げたボールは、毎回同じような高さや位置には上がり上がらないので、微妙に変化する状況に対して、ピンポイントでボールに触れなくてはなりません。
そうすることで、先程のパス&コントロールのトレーニングと同じように、イレギュラーな現象に対して適応するテクニックをトレーニングすることになります。
3. なぜ「目的設定」が重要なのか
試合では、すべてが計画通りに進むわけではありません。
イレギュラーな状況が頻繁に発生するため、選手にはその場で対応する能力が求められます。
「目的設定」の指導方法は、まさにこの適応力を養うものです。
メリット1:選手が主体的に解決策を見つける。
メリット2:試合中の予測不能な状況にも柔軟に対応できる。
メリット3:選手の集中力が向上し、練習の質が高まる。
ここまで読んでいただいた方の中には、ピンとくる方もいらっしゃると思いますが、この発想はエコロジカルアプローチをもとに自分なりに考えた方法です。
現代、そしてこれからの選手育成においてエコロジカルアプローチは大変有効な考え方になると思います。
少し難しく感じるかもしれませんが、これからの指導においては必須です。
まだ読まれてない方はぜひ読んでみてください!
4.まとめ
「目的設定」に基づいた指導法は、選手の自立性を引き出し、試合での即応性を向上させるためのアプローチです。
選手の技術力を高めるだけでなく、従来のトップダウン的な指導ではなくて、選手の主体性や自主性を引き出すことにもつながります。
技術指導は一方的な指示ではなく、選手が自分で考え、行動できる環境を整えることが重要です。
もし現在の指導法で伸び悩みを感じている場合、この「目的設定」のアプローチをぜひ試してみてください!