ジュニア年代のサッカー指導現場では、私のようにそれを仕事として選手育成に携わっている指導者だけでなく、別の仕事をしながら副業として、もしくはボランティアで携わっている方が多くいます。
実質はほとんど無給ではありますが、子どもたちのためにという献身的な立場から日本サッカーの底辺をさせている方がほとんどかと思います。
私自身過去には少年団で15年程指導した経験があるのでその大変さは分かります。
今回は精神論的な話になりますが、ジュニア年代のサッカーコーチとして意識しておきたい心得について解説します。
①プロの指導者とアマチュアの指導者の違い
みなさんの中ではプロの指導者とアマチュアの指導者の違いはどのようなものでしょうか。
もちろん大きな違いに「賃金が発生する」ということがあります。
私の場合はプロクラブではありませんが、アマチュアのサッカークラブ、いわゆるクラブチームを運営して、毎日指導現場に立つことが仕事なので、当然それを職業としています。
しかしこれは指導を受ける子どもたちにとっては関係ありません。
コーチがそれを仕事にしていようがいまいが、子どもたちは自分をサッカーをもっと好きにさせてくれたり、もっと上手くさせてくれるコーチを望んでいます。
そのような視点に立つと、実際はプロでもアマチュアでも「子どもにサッカーを教える立場」としてはミッションは同じです。
ただし、賃金が発生していてもプロフェッショナルな仕事ができない指導者もたくさんいます。
つまり指導者のレベルや質は「賃金が発生するプロか、賃金が発生しないアマチュア」かの違いは依存しません。
ボランティアの方でも素晴らしい指導をされている方はたくさんいます。
②子どもの前では責任を持たなくてはならない
タイトルですでに結論を書いていますが、私の考えでは「子どもの前ではプロもアマチュアも関係ない」ということです。
サッカーコーチの役割は子どもをサッカーが好きになるようにして、もっと上手くなりたいと思えるように夢中にさせ、サッカーを通じて人間教育を行い、実際に上手くして、チームを強くすること。
これは他の選手や他のチームとの比較だけではなく、一人一人の問題を一つずつ解決していくことです。
つまりサッカーを通じて選手が何らかの成長を促すこと。
サッカーが好きになる、スポーツが好きになるというのも成長です。
選手のレベルに応じて次のステップに導くのがコーチの仕事であり、それに対して責任を持つ必要があります。
当然プロの指導者は選手の成長に対してコミットできるかどうかで、クラブからの評価が下りますが、アマチュアであっても選手を成長させなければなりません。
それがサッカーコーチをやることに対する義務であり、子どもに対する責任です。
✔︎具体的なコーチの仕事に関しては『少年サッカーコーチの仕事は教えるではなく「できるようにする」こと』を参照
③1回の練習を成功させる
子どもに対して指導する上で一番重要なことは1回の練習を成功させること。
練習が終わった後に選手が以下のように感じていたら成功です。
・とても疲れたがもう少し練習したい
・コーチのアドヴァイスで上手くできるようになった
・もっと上手くなりたい
・次の試合ではもっと良いプレーができるような気がする
・次の練習や試合が楽しみ
選手にこのような感情を抱かせるためにサッカーコーチは細心の注意を払わなければなりません。
・事前に練習を計画的に準備する
・選手を深く観察し心理状態を探る
・少し頑張れば達成できる難易度
・選手の感性に響くコーチング
1回の練習、1つのメニューに全力を注ぎ込むことが全てです。
練習後は当然、コーチも疲労している状態になっているはずです。
④コーチをすることに不安を感じたら
ここまで読んでいただいた方の中では「自分はボランティアコーチだから…」と不安を感じる方もいらっしゃるかと思います。
しかし、心配は無用です。
私たちのようにそれを仕事にしている指導者でも失敗はします。
毎回の練習でも、前回の練習よりもっと良くしたいと望んで指導を行いますが、あまり上手くいかないというケースもあります。
ポイントはそこで立ち止まるのではなく、練習を振り返り勉強してさらに自分の指導スキルを上げること。
選手と同じで私たち指導者もトライ&エラーの繰り返しです。
⑤まとめ
今回は1回の練習を成功させることの重要性、コーチの心得について解説しました。
一番ダメなのは「不安を感じていないこと」や勉強しないコーチ。
選手の能力が高いので試合に勝てていることを「自分の指導力」と勘違いしてしまうことです。
「無知の知」ほどサッカーコーチをダメにするものはありません。
そしてそれは、もっと上手くなりたいと感じている選手に対する責任です。