勝敗・育成【少年サッカーにおける5つの結果】思考停止せず葛藤を選ぶ

こんにちは、講師のカズです。

少年サッカーを指導していると、勝敗にこだわるべきかそれとも育成を重視するかと悩む指導者の方は多いと思います。

選手の頑張り、周囲の評価、自分の指導の考え方、いろんな思いが交錯してなかなか答えが出せずに問題を抱えることもよくあります。

・勝てないから隣の強いチームに選手が流れた
・勝利を追求することが重要
・目の前の勝敗よりも育成が大事

このような問題や疑問は指導者なら誰でも通る道です。また常に答えが出しにくいものですね。

しかしこの『答えがなく迷う』ということは指導者にとって無駄ではありません。

僕自身、バルセロナに留学中は現地の勝利に対する意識の高さを痛感したし、現在もクラブを運営しながら模索してきました。

この記事では、指導者が追求すべき育成年代の結果について解説します。

求める結果が分かれば、あとはそれを達成するために行動するだけです。

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1.少年サッカーにおける5つの結果


育成年代において目指すべき結果を5つほど挙げてみます。

後述しますが、これらを全てを同時に成立させるのはとても難しいことです。
しかし極端にどちらかに振り切るのではなく、全てを追求することが大事かなと思います。

1つずつ見て行きましょう。

①サッカーが好きになる

子どもたちがサッカーを始めてから、嫌いにならずに熱中させるのはコーチとしての大前提ですね。
もちろんサッカーが好きになった後も、継続して好きでい続けることが重要です。

年齢が上がるにつれて競技性や競争が高まり、純粋にサッカーが好きという以外の要素が増えてきますが、それでもサッカーが好きな状態を保つことは重要。

少年サッカーに限らず、育成年代の全てに当てはまるのではないでしょうか。

②もっとサッカーが上手くなりたいと意識が高まる

好きになることと同様に、それに対する意識を高めることが大切です。

サッカーをやってれば自然と意識は高くなると思うかもしれませんが、実は全員がそうではありません。
選手によっては上手くマネジメントしないと意識が高まらない選手は多いです。

サッカーが好きになって、その後もっと上手くなりたい、もっと高いレベルに行きたいと選手が思えれば、それも育成の結果だと言えます。

③上手くなる(テクニック・戦術も)

選手が上手くなるというのも重要な結果です。
これは個人レベルでもチームレベルでも。

テクニックや戦術的な側面だけではなく、フィジカルやメンタルも含めて選手がレベルアップする=上達することは育成年代の結果の1つです。

④試合に勝つ

勝利を追求することはとても大切です。
高いレベルを目指すことも、日々の練習も全て試合で勝利するために行うものです。

ただ、勝敗は自分たちだけではコントロールできないものであるということ。

今回ピックアップしている他の結果とは違い、コーチやクラブが必ずと確約できないものでもあります。
だからといってそこから目を背けるのではなく、そこにコミットする姿勢が重要です。

そして勝利を目指すことは、選手を育成することと矛盾しません。

>>参考:【勝利と育成は矛盾しない!?】少年サッカー・勝敗へのこだわり+α

⑤サッカーを通じて人間力が高まる

サッカーは子どもを大人にするという言葉がありますが、スポーツを通じて学べることは本当に多いです。

真剣に取り組むサッカーには、競技性以外にも人間教育の面でもたくさん得れるものがあります。

せっかくその機会があるのにそれを排除してしまうのはもったいないですよね。

後述しますが、勝利だけで人間教育は必要ないなどと方針を振り切るとコーチとして思考停止します。

思考停止した方がコーチのとって楽な状態なのですが、子どもたちのためにもっと大人が改善する必要があります。
そもそもそれではプロフェッショナルと言えません。

2.極端に方針を振るのは思考停止のもと

クラブやコーチの指導方針を極端な方向に振ると必ず思考停止します。
また、それは指導者にとってとても楽な状態であります。

毎回、葛藤の中で苦しみながら答えを出そうとすることと、決まったルールに従って行動するとでは難易度が違います。

少し伝わりにくいと思うので例を挙げてみます。

①人間教育は行わずサッカーだけを教える

例えば、うちのクラブは人間教育を行わずサッカーだけを教えます。
と極端に方針を振った場合。

そのような方針でも個人・チーム内でサッカー以外の問題は必ず起こります。

例えばチーム内でイジメがある。しかしそれに対してコーチが選手のためを思って改善する必要はありません。
人間的な教育は全て家庭にあると言い切ることができます。

つまりこのように大きく何かを排除するとコーチの負担は減ります。
その結果コーチが改善しようと試行錯誤する必要はありません。

②勝利しなくてもサッカーを教える

これも極端に方針を振る例です。

僕自身も過去に勝利と育成を考えた時に、勝利よりも育てることが大事だと極端に振って上手く行かなかったことがあります。
試合の勝敗にこだわるのではなく、負けてもいいのでちゃんとサッカーをさせる。

しかし本来、サッカーを学ばせるということは勝利するためにあるもの。

これは一番難しいものですが、きちんとサッカーを学ばせながら勝利することを目指さなければいけません。

このように、極端に方針を振るとコーチが取り組むことが減少されます。
それによって大きな問題が起きにくいと錯覚しますが、実際には選手育成の面で代償が大きくなります。

勝利至上主義だけでは人間性が大きく損なわれるし、勝利しなければモチベーションが下がるといった現象は容易にイメージできると思います。

3.矛盾するものを同時に成立させる

矛盾するものを同時に成立させるとはどいうことかと言うと、先ほどの5つの結果のどれかを追求した時に起こる問題を同時に解決すると言うことです。

矛盾や問題が起きるいくつかの例を挙げます。

①勝負にこだわりすぎてサッカーが嫌いになる

コーチが試合に勝つことだけにこだわりすぎると、その結果出場機会を減らした選手のモチベーションが下がります。最悪の場合はサッカーが楽しくなくなるという問題も。

しかし、選手・保護者もその試合で勝つことの重要性を感じている。
ここで葛藤が起きます。レベルは下がるが全員を試合に出すべきか?

②試合に勝つためにはもっとハードに練習を

次の大会で勝ち進むためには、今のままではダメでもっとハードに練習を行う必要がある。主力選手たちはモチベーションも高くそれを望んでいる様子。

しかしグループ内にはまだやっと練習についていくのが精一杯の選手がいる。
日々のトレーニングをどうするべきか。

③全員出場で勝利を逃しエースが抜ける

クラブとしては勝利を追求しながらできるだけ全員に試合経験をさせたい。

コーチにとってはあまり重要だとは思っていない試合でエースの子を下げ全員を出場させる。
結果試合には負けたが試合経験は積めた。

しかし常に試合に勝ちたいエースの選手は不満を抱いて移籍。チームとしては勝利も追求しているのに。

④チーム内でトラブル

主力級の数名の選手が他の選手にいつも文句を言う。しかし彼らのレベルが高いので試合にも勝利している。

ただ、人間教育の面では指導する必要がある。
文句を言われれている選手は性格は良いものの確かにサッカーへの意欲は低い。しかもサッカーが嫌いになりかけている。

しかしエースの選手は練習熱心で試合は常に勝ちたい。

⑤サッカーを学ばせているが勝利できない

コーチとしてはきちんとサッカーを学ばせている。しかし、なかなか試合で勝利できない。やってることは間違っていないはずなのに結果が出ない。

他のコーチや保護者からもっと勝つためにやったほうがいいのではないかと言われる。

しかしロングボールを蹴り込むリスク回避のサッカーはしたくない。
けど負けが続き子どものモチベーションは低下している。

ざっと5つほど現実的に考えれる例を出してみました。

これらの例は、片方をとればもう一方に問題が起きるといった現象です。
少年サッカーを指導されている方にはよくある話かもしれません。

しかし、最初に挙げた5つの結果全てを追求しようとするとこのような問題が起きます。


そこでどうするかと言うと以下の通りです。

結果の全てを追求するためにマネジメントする

全ての結果を同時に成立させようとすると矛盾が起きますし、不可能なこともあります。
しかしチームの時期、選手の状態、クラブの目指すべき方向という文脈の中で、可能な限り全ての結果に対してコミットする姿勢が重要です。

思考停止に陥らず、細かな調整を行いながら欲張って全てを完璧に成立させようとするメンタル的な強さが必要。

そのため指導者は常に葛藤の中で仕事をする必要がありますね。

今回はかなり精神論に近いですが、普段僕が意識して取り組んでいることです。
みなさんの参考になったら幸いです!

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