【日本にオフシーズンという考えは根付くのか?】

ここ数年、日本の育成年代のサッカー界でも「オフシーズンの重要性」が言われるようになってきました。

僕は基本的にはオフシーズンは選手だけでなく指導者にとっても必要だと考えていますが、まだまだ現状は難しい部分があります。

僕がサッカーコーチの勉強のために留学していたスペイン・バルセロナ。
当然オフシーズンがあり、クラブや年齢によって異なりますが、6,7月〜8,9月あたりの1ヶ月〜1ヶ月半、夏のバカンスがあります。

反対に日本のサッカーの育成年代にはオフシーズンがないですし、日本のスポーツ界全体にそういう考えがまだまだありません。

ここで注意したいのは「ヨーロッパはオフがあるから良くて日本が間違っている」という短絡的な議論ではなく、もう少し掘り下げた方が良いと思います。

『選手の成長のために本当にオフシーズンが必要だ』という考えが構築できれば自然と根付くでしょうし、その理由が曖昧なら難しいかもしれません。

リフレッシュのためにも一度休んだ方が良い

実際のところ、今の日本の現状で「オフがないからきつい」と感じていう人は少ないかなと思います。
ほとんどの方が「休まなくてもずっと練習や試合を継続できる」と感じている方も多いと思いますが、実際に『質』はどうなっているでしょうか?

僕は1回の練習のコーチングで質を最大に約束できるのは90分くらいだと感じています。時々70分くらいで ピークにきますが、それ以上の時間で「質を保つ」ことは結構難しいです。

最大限出し切った後は当然「回復の時間」も必要。

これは一日の話ですが、年間でも同じようなことが言えます。

ピークを超えたら一度休養し、リフレッシュする必要があります。それは怠けているのではなく、「再度質を上げるために必要な休息」なのです。

会社で仕事をしても同じですが、常に力を発揮するにはオフは必要です。

監督の気持ちも分かる

僕が運営しているクラブでは春休みと夏休みは難しいですが、冬休みに長期休暇を設けています。
これは各年代の公式戦のレギュレーションからそうしたのですが、冬に2週間ほど選手もスタッフも休みます。

本当は1ヶ月ほど休みにしたいのですが、クラブチームの経営上、もしくは選手・保護者のニーズ、もしくは他のクラブとの競争や差別化の問題など、クラブ経営をしていればそれがなかなか難しいことは分かると思います。

ましてや「自分のチームが1ヶ月休んでいる間にライバルチームは練習や遠征をしている」となれば「オフシーズンを1ヶ月取るという決断」は、簡単にできることではありません。

外から見れば簡単そうに見えますが、現場では本当に難しさがあります。

僕も1ヶ月ほどのオフは欲しいですし必要だと思いますが、日本の指導現場でどのようにすれば一番良いかはまだ答えが出ていません。

なぜヨーロッパでは簡単で日本では難しいか?

単純な理由として「学校のスケジュールや暑い夏の時期がリンクしている」ということもあると思います。
例えばスペインだと「日本でいう学校の3学期が終了するのが6月頃」で、年間で一番暑い7,8月(運動したくない)は休みです。そして9月から新学年での生活が始まります。

つまり、サッカーをするには一番きつい夏と、学校の卒業や新年度の時期がリンクしているのです。
暑い夏はバカンスで休んで、その後新しいシーズンが始まるというものです。

反対に日本では4月に新学期が始まり、年の途中で暑い夏が来るのと、真冬にしてもキリが悪いところに位置しています。

夏か冬の一番サッカーをしたくない時期とシーズンの境目が同じなら良いですがそうではありません。
そのようなことが原因だと思いますが、そういうことが日本では長期のオフを取りにくい原因かと思います。

トップダウンでするしかない

僕のクラブは小学生と中学生の部門がありますが、それぞれの年間のスケジュールの違いも関係あります。
それぞれの休める時期が違うのでクラブとしては年中動く必要があります。

これはどこのクラブでも悩ましいところかなと思います。

なので、『本当にオフシーズンが選手育成のために必要』と考えるのなら「JFAからのトップダウン」でやるしかありません。

現場の監督コーチはそうしたくても「様々な要因」から難しいのです。

もし、必要ないという見解なら、各クラブ、監督の判断に任せて良いと思います。

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