Junior Soccer College Written by ジュニアサッカー大学

サッカーの戦術コンセプトとは?【8人制サッカーも共通】徹底解説

戦術コンセプト

こんにちは、講師のカズです。

サッカーにおいて戦術と言った時に何をイメージするでしょうか。

ポジショナルプレーやポゼッションサッカー、マークやカバーリング、サポートやスペースを使う動きなど、この他にも多くの戦術的な用語がありますが、これらの分類を整理しないと指導現場で困ることが多々あります。


今回はその中でも重要な攻撃と守備の戦術コンセプトの概要と、サッカーを構造的に捉えた場合の位置付けについて解説します。

戦術コンセプトとは何か、どのような位置付けかを理解すれば、サッカーの戦術を深く知るための様々な言葉を整理するフレームワークの1つが見えてきます。

動画で解説

※注意:動画の中では戦術アクションと呼んでいますが、戦術コンセプトの事です。ニュアンスが違うので変更しました。

では、解説します。

1.はじめに

①戦術コンセプトとは?

戦術コンセプトの厳密な定義はないのですが、以下のようなイメージです。

サッカーにおける攻撃・守備・切替のフェーズにおいて目的達成のための原理原則となる戦術。

例えば攻撃においてはマークを外す動きやサポート。
守備ではカバーリングやスライドといったコンセプトは、サッカーにおける普遍的なアクションです。

分かりにくい表現ですが、この記事を読み進めて行けばイメージはつかめると思います。

以下の図のような項目が戦術コンセプトに位置付けられます。

様々な異なるゲームモデルを選択した場合でも、活用できる普遍的なものを戦術コンセプトと呼んでいます。

例えば僕の場合、攻撃のフィニッシュのフェーズの目的の一つはシュートを打つことであり、そのために戦術コンセプトであるマークを外す動きを活用する、という位置付けを行なっています。

そしてこのマークを外す動きは、ゲームモデルが変更されてもサッカー原理原則的な戦術的な要素です。

②戦術コンセプトの注意点

最初にいくつか注意点があります。

戦術コンセプトは攻撃と守備、個人戦術やグループ戦術など様々なものが挙げられますが、この記事ではバルセロナのコーチングスクールで学ぶ内容をベースに、近年の新しいサッカー用語と合わせ、ジュニアサッカー大学なりの解釈を加えてアレンジした内容となっています。

また、これらのアクションは時代やサッカースタイルの変化と共に、今後も発展していくものなので随時、加筆修正を行います。

ジュニアサッカー大学を通じて常日頃発信しておりますが、最終的には各監督・コーチ自身が自分なりの定義、サッカー観を持つことがこの大学の目標ですので、自分なりの解釈を加えて、自分なりの位置付けを自由におこなってください。

その基礎となる部分にジュニアサッカー大学の知識がお役に立てば幸いです。

※今後、随時加筆修正していきます。

2.サッカーにおける攻撃の戦術コンセプト


はじめにサッカーにおける攻撃の戦術コンセプトを見て行いきます。

ここでは各コンセプトの詳細は省きますが、まずは全体像を捉えましょう。

ジュニアサッカー大学では攻撃の戦術コンセプトは13の項目を挙げています。

①個人戦術コンセプト

主に1人、もしくは2人の関係性の中で実行される攻撃の個人戦術コンセプト。

  1. マークを外す動き
  2. サポート
  3. スペースの活用(スペースを作る・使う・埋める)
  4. 引きつける
  5. ライン間のポジショニング(エントレリネアス)
  6. 攻撃の警戒

②グループ戦術コンセプト

主に2人〜3人組の関係の中で実行される攻撃の戦術コンセプト。

  • 壁パス
  • オーバーラップ
  • 落としのパス(レイオフ)
  • 3人目の動き

③チーム戦術コンセプト

個人、グループとしてだけでなく、チーム全体としても実行される攻撃のチーム戦術コンセプト。

  1. サイドチェンジ
  2. 継続的なパスライン
  3. 攻撃を遅らせる


以上の13項目が攻撃における戦術コンセプトになります。

それぞれの詳細を知りたいは方は、各戦術アクションの記事を参考にしてください。

※注意:個人、グループ、チームの区分とその他の戦術コンセプトの関係
それぞれの区分は厳密に定義されるのではなく、曖昧さを含んだものです。サイドチェンジをグループ戦術アクションとして考えることもできますが、あまり細かな言葉での定義づけはここでは本質的な問題ではないと考えます。
また、例えば「身体の向きを整える」ということも戦術的なアクションと言えますが、ジュニアサッカー大学では「サポート」などの戦術アクションのキーファクターに含んでいます。

3.サッカーにおける守備の戦術コンセプト

次に守備おける戦術コンセプトを見ていきます。守備に関しては図のように11のコンセプトを挙げています。

①個人戦術コンセプト

主に1人、もしくは2人組の関係性の中で実行される守備の個人戦術コンセプト。

  1. マーク
  2. 守備の警戒
  3. 予測
  4. インターセプト
  5. ディレイ(敵の攻撃を遅らせる)

②グループ戦術コンセプト

おもに2人〜3人組の関係の中で実行される守備の戦術コンセプト。

  1. カバーリング(チャレンジ&カバー)
  2. ポジションの交換(カバーリングのカバー)
  3. スライド

③チーム戦術コンセプト

個人、グループとしてだけでなく、チーム全体としても実行される守備のチーム戦術コンセプト。

  1. プレッシング
  2. 後退
  3. ラインコントロール


以上の11項目が守備における戦術コンセプトになります。

攻撃・守備、いずれにおいても監督・コーチの考え方によって区分やピックアップされる項目は異なります。

※注意:アレンジについて
ジュニアサッカー大学では、バルセロナのコーチングスクールで学んだ内容をベースにおいていますが、そこに日本での指導経験や日本語が持つ意味合いを考慮して、普遍的な概念というより実践的な観点からアレンジを加えています。

4.戦術コンセプトの位置付け

最後に各フェーズとの関係性を例を挙げて見てみましょう。

上の図は別記事で解説している「サッカーにおける4つの局面(フェーズ)とその中に含まれるサブフェーズ」の中に戦術コンセプトを位置付けたものになります。

その中から攻撃のサブフェーズである「フィニッシュ」を例に解説します。

(例)サブフェーズ・フィニッシュ
■目的
中央でのコンビネーション、サイドから崩してシュートチャンスを作る

(プレー原則)
 ・幅をとったポジショニングでボールを動かし中央のスペースを広げる
 ・サイドで数的優位を作る

■戦術コンセプト(目的達成のための)
 ・マークを外す動き
 ・壁パス
 ・3人目の動き
 ・オーバーラップ
 ・他

つまり、フィニッシュのフェーズでの目的であるシュートチャンスを作るために、いくつかの戦術コンセプトが必要になるという解釈です。

図の中でプレー原則を()にしているのは、これらの戦術コンセプトはおおかた、このフィニッシュのフェーズで用いられる戦術アクションだからです。

ゲームモデルやプレー原則が変わるとピックアップされる項目の多少の違いはありますが、このフェーズに必要な戦術コンセプトは大きくは変わりません。

このように、戦術コンセプトとは各サブフェーズにおいて、その目的を達成するためのプレー原則を支えるもの、もしくは同列にくる可能性がある戦術用語になります。

注意:プレー原則と戦術コンセプト
プレー原則はゲームモデルの中にある各フェーズにおける選手がプレーするためのガイドラインですが、これをプレーコンセプトと呼ぶことも可能です。プレーコンセプト実現のために各戦術アクションが必要になるという解釈も成り立ちます。

6.まとめ

今回は戦術コンセプトの概要について解説しました。

これらは現代サッカーの中での普遍的なコンセプトで、それ自体の言葉を知るだけでなく、構造的にどのような位置付けになるかを理解すると、その後のゲーム分析やトレーニングメニュー作成、育成年代に何を学ばせる必要があるか、といった大きな問題を解説するキーワードになってきます。

また、別記事で解説しているサッカーにおける4つの局面と11のサブフェーズと合わせて考えると、より理解が深まります。

分析、トレーニングを考える際に、サッカーを構造的に見る時の基礎となるフレームワークを知ることで、戦術アクションの位置付けが明確になるので参考にしてください。

>>参考:戦術を理解するサッカーの基本構造・4つの局面と11のサブフェーズ