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サッカーにおける戦術アクションとは何か? 概要と位置付け

サッカーにおける戦術アクションとは何か? 概要と位置付け

サッカーにおいてはマークやカバーリング、サポートやスペースを使う動きなど、この他にも多くの戦術的な用語がありますが、ジュニアサッカー大学ではそれらを総称して「戦術アクション」と呼んでいます。

今回は、攻撃と守備の戦術アクションの概要と、サッカーを構造的に捉えた場合の位置付けについて解説します。

戦術アクションとは何か、どのような位置付けかを理解すれば、サッカーの戦術を深く知るための様々な言葉を整理するフレームワークの1つが見えてきます。

✔︎目次

①はじめに(戦術アクションの注意点)

②サッカーにおける攻撃の戦術アクション

③サッカーにおける守備の戦術アクション

④サッカー 戦術アクションの定義

⑤戦術アクションの位置付け

⑥まとめ

⑦動画で解説

①はじめに

今回はサッカーにおける戦術アクションの解説ですが、最初にいくつか注意点があります。

戦術アクションは攻撃と守備、個人戦術やグループ戦術など様々なものが挙げられますが、この記事ではバルセロナのコーチングスクールで学ぶ内容をベースに、近年の新しいサッカー用語と合わせ、ジュニアサッカー大学なりの解釈を加えてアレンジした内容となっています。

また、これらのアクションは時代やサッカースタイルの変化と共に、今後も発展していくものなので随時、加筆修正を行います。

ジュニアサッカー大学を通じて常日頃発信しておりますが、最終的には各監督・コーチ自身が自分なりの定義、サッカー観を持つことがこの大学の目標ですので、自分なりの解釈を加えて、自分なりの位置付けを自由におこなってください。

その基礎となる部分にジュニアサッカー大学の知識がお役に立てば幸いです。

②サッカーにおける攻撃の戦術アクション

戦術アクション一覧


はじめにサッカーにおける攻撃の戦術アクションを見て行いきます。

ここでは各アクションの詳細は省きますが、まずは全体像を捉えましょう。

上の図のように、ジュニアサッカー大学では攻撃と守備に分け、攻撃の戦術アクションにおいては13の項目を挙げています。

■個人戦術アクション


主に1人、もしくは2人の関係性の中で実行される攻撃の個人戦術アクション。

1.マークを外す動き
2.サポート
3.スペースの活用
4.引きつける
5.ライン間のポジショニング(エントレリネアス)
6.攻撃の警戒

■グループ戦術アクション

主に2人〜3人組の関係の中で実行される攻撃の戦術アクション。

1.壁パス
2.オーバーラップ
3.落としのパス(レイオフ)
4.3人目の動き

■チーム戦術アクション

個人、グループとしてだけでなく、チーム全体としても実行される攻撃のチーム戦術アクション。

1.サイドチェンジ
2.継続的なパスライン
3.攻撃を遅らせる

以上の13項目が攻撃における戦術アクションになります。

それぞれの詳細を知りたいは方は、各戦術アクションの記事を参考にしてください。

注記1.個人、グループ、チームの区分とその他の戦術アクションの関係
それぞれの区分は厳密に定義されるのではなく、曖昧さを含んだものです。サイドチェンジをグループ戦術アクションとして考えることもできますが、あまり細かな言葉での定義づけはここでは本質的な問題ではないと考えます。
また、例えば「身体の向きを整える」ということも戦術的なアクションと言えますが、ジュニアサッカー大学では「サポート」などの戦術アクションのキーファクターに含んでいます。

③サッカーにおける守備の戦術アクション

次に守備おける戦術アクションを見ていきます。守備に関しては図のように11のアクションを挙げています。

■個人戦術アクション

主に1人、もしくは2人組の関係性の中で実行される守備の個人戦術アクション。

1. マーク
2. 警戒
3. 予測
4. インターセプト
5. 敵の攻撃を遅らせる

■グループ戦術アクション

おもに2人〜3人組の関係の中で実行される守備の戦術アクション。

1. カバーリング(チャレンジ&カバー)
2. ポジションの交換(カバーリングのカバー)

■チーム戦術アクション

個人、グループとしてだけでなく、チーム全体としても実行される守備のチーム戦術アクション。

1. プレッシング
2. 後退
3.スライド
4.ラインコントロール


以上の11項目が守備における戦術アクションになります。

攻撃・守備の戦術アクション、いずれにおいても監督・コーチの考え方によって区分やピックアップされる項目は異なります。

注記2.アレンジについて
ジュニアサッカー大学では、バルセロナのコーチングスクールで学んだ内容をベースにおいていますが、そこに日本での指導経験や日本語が持つ意味合いを考慮して、普遍的な概念というより実践的な観点からアレンジを加えています。

④サッカー 戦術アクションの定義


以上のように、ジュニアサッカー大学では攻守においていくつかの戦術アクションをピックアップしていますが、ここで戦術アクションとは何か?について解説します。

定 義

戦術アクションとはサッカーにおける各フェーズ、サブフェーズにおいて、目的達成のための手段となる知的アクション。
基本的にはプレーモデルから独立した普遍的な概念ですが、プレーモデルとの関係性の中では、プレー原則を有効化するための手段となります。


つまり様々な異なるゲームモデルを選択した場合でも、選手が実行する普遍的なものを戦術アクションとしています。

例えば私の場合、攻撃のフィニッシュのフェーズの目的の一つはシュートを打つことであり、そのために戦術アクションであるマークを外す動きが実行される、という位置付けを行なっています。

そしてこの「マークを外す動き」は、ゲームモデルが変更されてもサッカーに必要な普遍的な戦術的なアクションです。

✔︎さらに深く理解を進めたい方は『サッカーにおける戦術の定義 〜戦術とは勝利のための知的アクション』を参考にしてください。

⑤戦術アクションの位置付け

サッカーにおける戦術アクションの位置付け


定義だけでは全体的な理解が進まないので、各フェーズとの関係性を例を挙げて見てみましょう。

上の図は別記事で解説している「サッカーにおける4つの局面(フェーズ)とその中に含まれるサブフェーズ」の中に戦術アクションを位置付けたものになります。

その中から攻撃のサブフェーズである「フィニッシュ」を例に解説します。

(例)サブフェーズ・フィニッシュ
■目的
中央でのコンビネーション、サイドから崩してシュートチャンスを作る

(プレー原則)
 ・幅をとったポジショニングでボールを動かし中央のスペースを広げる
 ・サイドで数的優位を作る

■戦術アクション(目的達成のための)
 ・マークを外す動き
 ・壁パス
 ・3人目の動き
 ・オーバーラップ
 ・他

つまり、フィニッシュのフェーズでの目的であるシュートチャンスを作るために、いくつかの戦術アクションが必要になるという解釈です。

図の中でプレー原則を()にしているのは、これらの戦術アクションはおおかた、このフィニッシュのフェーズで用いられる戦術アクションだからです。

ゲームモデルやプレー原則が変わるとピックアップされる項目の多少の違いはありますが、このフェーズに必要な戦術アクションは大きくは変わりません。

このように、戦術アクションとは各サブフェーズにおいて、その目的を達成するためのプレー原則を支えるもの、もしくは同列にくる可能性がある戦術用語になります。

注記3.プレー原則と戦術アクション
プレー原則はゲームモデルの中にある各フェーズにおける選手がプレーするためのガイドラインですが、これをプレーコンセプトと呼ぶことも可能です。プレーコンセプト実現のために各戦術アクションが必要になるという解釈も成り立ちます。

⑥まとめ

今回は戦術アクションの概要について解説しました。

これらは現代サッカーの中での普遍的なコンセプトで、それ自体の言葉を知るだけでなく、構造的にどのような位置付けになるかを理解すると、その後のゲーム分析やトレーニングメニュー作成、育成年代に何を学ばせる必要があるか、といった大きな問題を解説するキーワードになってきます。

また、別記事で解説しているサッカーにおける4つの局面と11のサブフェーズと合わせて考えると、より理解が深まります。

分析、トレーニングを考える際に、サッカーを構造的に見る時の基礎となるフレームワークを知ることで、戦術アクションの位置付けが明確になります。「戦術を理解するサッカーの基本構造・4つの局面と11のサブフェーズ

⑦動画で解説

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