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サッカー戦術アクション『サポート』・目的による2種類のサポート

サッカー戦術アクション『サポート』・目的による2種類のサポート

サッカーの戦術アクションにおけるサポートは味方からパスを受けるアクションで、育成年代のどのカテゴリーにおいても基本となる重要な要素です。

ボールホルダーに対して前方や横、後方でパスを受けてボールを動かすアクションはサッカーにおいて基本的な概念で、個人戦術アクションとなります。

ただサポートの概念はパスを受けるアクション全般に現象として見られるため、扱い方によってはとても広い概念となります。マークを外す動きからパスを受けるケース、3人目の動き、レイオフ、スペースを作る動きと使う動きからパスを受けるなど、別の戦術アクションと概念が重なるケースも多々あります。

今回は、多義にわたるサポートの概念をそぎ落として個人戦術としての本質的な部分について解説します。

✔︎目次

①サポートの定義

②2種類のサポート

③前進のためのサポート
  ・前進のためのサポート・キーファクター

④ボール保持のためのサポート
  ・ボール保持のためのサポート・キーファクター

⑤ジュニア年代でよくあるミスと改善方法

⑥まとめ

①サポートの定義

サポートの概念は実に幅広いもので、他の戦術的アクションとの関係も多義に渡ります。
その中でもサポートという概念を本質的な部分で捉えるため、ジュニアサッカー大学では次のように定義しています。

■定義
ボール保持者に対して近づいたり、離れたりしながら、パスコースを作ること。ボールホルダーに対して確実にパスを受けためのアクション

簡単に言うと見方からパスを受けるためのアクションの全てをサポートとしています。
パスを受ける方向としては前後左右全ての方向が含まれます。

②2種類のサポート

次にサポートには2種類の方法があると考えています。

①前進のためのサポート
②ボール保持のためのサポート

ただし、この2つのタイプはパスを受けた選手が次に行うアクションによってどちらのサポートになるかが変わります。

実際のプレーでは斜め後方にパスを逃がすようなサポートでも、その後選手がコントロールオリエンタードで前進すれば受け手にとっては「前進のためのサポート」とも言えます。

そのような判断しにくいケースもありますが、パスの出し手から見ると自分より後方に位置する選手のサポートと、同一ライン、前方にいる選手のサポートでは捉え方が変わってきます。

そのため、厳密な区分はできませんが、便宜上ジュニアサッカー大学では「前進とボール保持」のサポートを異なる概念で区分しています。

注記1.高さによってサポートを区別する問題点
後述するように「前進とボール保持」それぞれのサポートの特徴にはポジションの高さが関係しています。しかし、ボールホルダーに対して同一ラインでパスを受ける場合にはどちらの区分になるかを厳密に定義することはできません。あくまで複雑なサッカーをシンプルにするための便宜上、そのように位置付けています。

③前進のためのサポート

1つ目のボールを前方に進めるためのサポートは以下のように定義しています。

■定義
前進もしくは前進の糸口を探るためにボールホルダーより高い位置でパスを受けようとするサポート。ボールホルダーに最も近い敵の選手のラインと同じか、ラインより高いポジション。

定義の中で「前進の糸口を探す」としているのは、例えば前方にポジションをとってサポートしてもパスを受けた時にプレスを受けてで前進きないケースもあるからです。
この辺りは厳密な定義づけが難しく、プレーの流れや微妙なニュアンスから異なる見解もあります。

注記2.ライン間でサポートするエントレリネアス
厳密に言うと、ライン間でパスを受けるエントレリネアスも前進のためのサポートと解釈することができます。ただし、ここ数年のサッカーではライン間にポジションを取ることがサポートの概念というよりは別の戦術的な側面を持っています。ゆえに重要な概念となるためサポートとは切り離して独立した戦術アクションとして位置付けています。

前進のためのサポートにおけるキーファクター

1.斜めにポジションを取ることで視野を確保する
2.身体の向きを前進方向へ整えワンタッチで前進できるために視野を確保する
3.前進方向の敵に近づきすぎないようにしてプレーするスペースを確保する
4.ボールホルダーと同じラインの高さでサポートする時は、コントロールオリエンタードで敵のラインを超える


下記の図のAのケースは敵のラインを超えて斜めにポジションを取ることで視野を確保し、かつ前方の敵に近づきすぎないことでプレーするスペースを確保しているので良い例です。

前進のためのサポートのキーファクター

反対にBのケースはAと同じようなポジションですが敵に近づき過ぎています。
Cのケースは敵と同じライン上でパスを受けましたが、その後コントロールで敵のラインを超えているケースです。

④ボール保持のためのサポート

2つめはボール保持のためのサポートです。サイドを変えて前進させようとする場合でも一度「保持」という形になりますの以下のように定義しています。

■定義
ボールを失わないために、もしくは展開するためにボールホルダーと同じラインもしくは後方でパスを受けようとするサポート。

例えばサイドを変えて前進を試みる時にボールホルダーより後方にポジションをとった場合、意図としては前進になりますが、個人レベルでは一度下げて保持してから前進させると捉えることができるので、同一ラインもしくは後方でのサポートをボール保持のためと定義しています。

ボール保持のためのサポートにおけるキーファクター

1.パスを受けた時にプレーする時間とスペースを確保できるポジショニング
2.ボールホルダーに近づきすぎない
3.近づき過ぎた場合はボールを足元に止めるか身体を入れてプロテクトする
4.自分がプレスをすぐに受けそうな時は次のパスコースを事前に探しワンタッチでプレーする

ボール保持のためのサポートのキーファクター

状況にもよりますができるだけプレーするスペースを確保し、敵に素早くプレスを受けるのを回避する必要があります。

⑤ジュニア年代でよくあるミスと改善方法

ここでは育成年代でよく起こるミスと改善方法について解説します。

前進と保持のサポートでよくあるミスと改善方法

サポートの高さは基本的な考えとしてボールホルダーに対するプレスのかかり具合で判断することができます。
Aのケースはパスを受けることができますが、敵のラインより低いためプレスを受けて敵を超えることができません。
反対にBのケースは高い位置を取り過ぎて敵にパスを引っ掛けてしまう可能性があります。

ボールホルダーがドリブルで運んだり、外したりすることで回避できることもありますが、個人戦術のサポートの概念としてはボールホルダーへのプレスのかかり具合でポジショニングを調整・判断することが重要です。

改善方法としては、トレーニングの中でキーファクターを明確にすることです。
例えば、

1.ボールホルダーがプレスを受けている時は、敵のラインよりポジションを下げてボール保持のサポートを行う。
2.ボールホルダーがプレスを受けていない時は、敵のラインを超えるポジションで前進のサポートを行う。

このように選手に明確な基準を設けることで感覚的ではなく、理屈としてそのポジションでのサポートが有効かどうかのジャッジができます。

ジュニア年代では保持のためのサポートはある程度感覚としてできますが、前進のために相手のポジションを超えるサポートを理解していない選手は多いです。

サポートは個人戦術の基本となるものなので、ジュニア年代から基本をしっかりとマスターさせたいところです。

⑥まとめ

今回は攻撃の個人戦術であるサポートについて解説しました。
基本的なことなので、なんとなく漠然と捉えてしまうアクションですが、効果的なポジションや前進と保持を使い分ける部分はジュニア年代で理解しておきたいものです。

トレーニングのポイントとしては、前進か保持のどちらかにフォーカスするのではなく、状況によって判断しないと成功しない設定の方が選手がより深くサポートを学ぶことができます。

ぜひ皆さんの指導現場でもサポートの使い分けができるか試してみて下さい。

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