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戦術を理解するサッカーの基本構造・4つの局面と11のサブフェーズ

戦術を理解するサッカーの基本構造・4つの局面と11のサブフェーズ

サッカーの戦術を理解しようとした時に、様々な言葉や用語が出てきて何から勉強して行けば良いのか分からなくなるということはよくあります。

また、一つ一つの言葉はなんとなく理解できるのですが全体として戦術を語ることができない。

これは「サッカーというスポーツを構造的に理解できていない」ということに起因します。

そこで今回は、私がバルセロナで学んだ内容を「指導現場で実践しやすいもの」になるように、ジュニアサッカー大学のアレンジを加えた『サッカーの基本構造を理解するためのフレームワーク』を解説します。

このフレームワークを理解することで、様々なサッカー戦術の言葉が整理される基本的な枠組みを理解し、サッカーを言葉で分析することができるようになります。

✔︎目次

①サッカーにおける基本構造の全体像

②サッカーの試合で循環する4つのフェーズ

③チーム全体のアクションを示す11のサブフェーズ

④まとめ

⑤動画で解説

①サッカーにおける基本構造の全体像

サッカーの構造の全体図

上の図はサッカーの全体像を構造的に見たものです。

大きく3段階に階層分けすることができ、下に行くほど起きている現象の解像度が高くなるイメージです。

サッカーのゲームにおける最初の階層は、大きく『攻撃・守備』の2つの状態に分けることができます。

この段階はサッカーの全体像を漠然と捉えたものですが、その次に位置する「フェーズ」ではゲームにおける展開が少しずつ明確になってきます。

フェーズとは一般的に言われる「サッカーの4つの局面」で、自チームもしくは相手チームがどのような状態にあるかを示しています。

その4つのフェーズの下の階層に来るのが「11のサブフェーズ」です。

これらは4つの各フェーズの中で、さらに細かくチーム全体としてどのサブフェーズに直面しているかを表しています。

それでは最初に各フェーズについて解説します。

注記1.サブフェーズはチーム全体のアクション
「サブフェーズ」としているものはバルセロナのコーチングスクールでは「Comportamiento del equipo」と定義され、「チームのふるまい・行動・アクション」の意。ここでは理解しやすくするためにサブフェーズとしています。

②サッカーの試合で循環する4つのフェーズ

サッカーにおける4つの局面


まず最初にサッカーを構造的に捉えるために「4つのフェーズ(4つの局面)」について解説します。

上の図を見てください。
これは先の全体像の中から4つのフェーズのみを切り取ったものです。

注記2.組織化された攻撃 / 守備
この図では「組織化された」という名前がついてますが「攻撃」「守備」と単純に理解しても構いません

つまりサッカーの展開においては
「攻撃」→「攻撃から守備への切替」→「守備」→「守備から攻撃への切替」
といった4つのフェーズで循環しています。


基本的には矢印の順番に展開され、各フェーズを飛び越えたり反対になることはありません。

注意すべき点としては切替が連続する可能性は大いにあります。

ボールを失って「攻撃から守備への切替」のフェーズになると同時にボールを奪い返せば「守備から攻撃への切替」のフェーズになります。

サッカーのゲームにおいては、必ずこの4つのフェーズが循環し、それぞれのチームはいずれかのフェーズを迎えていることになります。

そして両チームの関係性を見た時にはコインの表裏のような構造になっています。

「敵チームが攻撃のフェーズ」を迎えている時、「自チームは守備のフェーズ」を迎えており、「敵チームが攻撃から守備への切替のフェーズ」を迎えている時には、「自チームは守備から攻撃のフェーズ」を迎えています。

注記3.組織化された攻撃と守備
バルセロナのコーチングスクールでは「Organización Ofensiva / Defensiva」と定義され、「組織化された攻撃・守備」の他にも「攻撃・守備の組織化」や「攻撃・守備組織」と表現することができます。

③チーム全体のアクションを示す11のサブフェーズ

サッカーの構造の全体図


再度上の図を見てください。
先の4つのフェーズのそれぞれの下にサブフェーズが階層化されています。

このサブフェーズは「チーム全体のアクション」を示しており、各フェーズの中でさらに細かく「チームがどのサブフェーズを迎えているか」を表しています。

簡単に言うと例えば、「組織化された攻撃のフェーズ」の中では「ビルドアップの始まり」「前進とボール保持」「フィニッシュ」のどこかのサブフェーズを迎えており、それはチームとして何をしているか?という風に解釈できます。

では1つず見ていきましょう。

注記4.セットプレー
ここでは攻守におけるセットプレーは通常の流れの中でのプレーとは異なるため11のサブフェーズに含んでいません。
セットプレーは別枠で考えるようにします。

「守備から攻撃への切替」では2つのサブフェーズ


この「ボールを奪った際に迎えるサブフェーズ」には下記の2つが含まれます。

①カウンターアタック
②組織化された攻撃の始まり(攻撃への移行)


ボールを奪ったらそのまま素早い攻撃を仕掛ける「カウンターアタック」

カウンターを実行せずにボールをつないだり、一度下げてから攻撃を組み立て直す「組織化された攻撃の始まり(攻撃への移行)」

ボールをクリアする場面や、再び奪い直される場面を除けば、必ずこの2つのアクションをチーム全体として行なっていることとなり、それをサブフェーズと位置付けています。

「組織化された攻撃」では3つのサブフェーズ


次にカウンターアタックを実行せずボールをつなぎ「攻撃のフェーズ」に移行した場合には、下記の3つのサブフェーズのどれかを迎えます。

①ビルドアップの始まり
②前進とボール保持
③フィニッシュ


ボールを持っている高さ(位置)によりますが、GKやDFラインから攻撃を組み立てる「ビルドアップの始まり」、ボールを敵陣へ前進させたり失わないようにする「前進とボール保持」、敵のゴール前で可能になる「フィニッシュ」といった3つのサブフェーズ。

注記5.「ビルドアップの始まり」と「前進とボール保持」
「ビルドアップの始まり」においては、スペインサッカー特有の概念「Salida de balón(サリーダ・デ・バロン)」を日本語でイメージしやすくするために意訳しています。

また、コーチングスクールでは「前進」と「保持」はそれぞれ別の概念で定義されていますが、前進をやめて一度保持したり、保持しながらの前進など、その2つのアクションは交互に実行されるケースが多いため、ジュニアサッカー大学では1つに集約しています。

「攻撃から守備への切替」では3つサブフェーズ


ボールを失った際に迎える「攻撃から守備への切替のフェーズには」下記の3つのサブフェーズが含まれます。

①プレッシング
②後退(レプリエゲ)
③プレッシングと後退


ボールを失った後に素早くプレスをかけて奪い返そうとする「プレッシング」、すぐに奪い返すのではなく、一度下がって守備陣形を整える「後退(レプリエゲ)」、ボールホルダーに近い数名はプレッシングを行い、同時に他の選手は自陣に戻る「プレッシングと後退」といった3つのサブフェーズがあります。

「組織化された守備」では3つのフェーズ


「攻撃から守備への切替のフェーズ」でボールを奪い返せなかった時には「組織化された守備」のフェーズへ移行します。

そしてこの中には先の「攻撃の3つのサブフェーズ」に対する守備のサブフェーズを迎えます。

①ビルドアップの始まりに対する守備
②前進とボール保持に対する守備
③フィニッシュに対する守備


守備のフェーズの中でも、敵の攻撃のサブフェーズの何に対して守備を行なっているかをイメージすると理解しやすくなります。

④まとめ


今回はサッカーの基本的な構造を知るためのフレームワークである「4つのフェーズと11のサブフェーズ」について解説しました。

✔︎ポイント

・戦術を理解するためにはサッカーの全体的な構造を理解する

・サッカーでは攻撃、切替A-D、守備、切替D-Aの4つのフェーズが循環している

・4つのフェーズの中にそれぞれのサブフェーズがある

・サブフェーズは11項目


このフレームワークをベースに置くことで、サッカーを構造的に見れるようになり、言葉で理解することが可能になります。

日々の練習メニューの組み立てやゲーム分析、そしてプレーモデルを整理・理解するために、このフレームワークを使ってみてください。

⑤動画で解説

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