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【小学生年代のゴールキーパー】『どのように位置付けるか?』

【小学生年代のゴールキーパー】『どのように位置付けるか?』

教科:育成論
科目:選手育成
テーマ:「ジュニア年代のGKの位置付け」

中学・高校と進んで行くとゴールキーパーのポジションには「専門でやってきたGK」が自然とそのポジションにいますが、小学生年代では、「誰がキーパーをするか?」「ずっとキーパーを続けるのか」、クラブ側のコーチ、保護者の方、そして本人にとっても難しい問題を抱えるケースも今までよく見てきまいした。

今回は僕が実際に自分のクラブの小学生年代で「ゴールキーパーをどのように位置付けているか」また「どのように扱うべきか」についてお話ししたいと思います。

まずはやりたい子を優先的に

小学校低学年はあまり問題ないですが、というかほとんどの場合交代で行なったりするので良いのですが、中学年以降になると、コーチとしても「出来るだけ専門のゴールキーパーを置きたい」と思うのではないでしょうか?

実際うちのクラブでも、中学年頃(4年生前後)からゴールキーパー専門でプレーしてゆく子が出てきます。
このGKの選定ですが、基本的には「自発的にGKをやりたい!」という選手を優先的にGKに据えてます。
もちろんコーチから「キーパーをやってみないか?」と誘うケースもあります。
その場合の理由はコーチによって違いますが、例えば「何かのきっかけでキーパーをやらしたらとても上手かった」、「今のままではフィールドでの出場機会はあまり多くならない可能性が高いが、キーパーなら出場時間が確保できる」といったケースなど様々です。

きっかけは何であれ、まずは「自分からキーパーをやりたい」という気持ちを持った選手が優先です。

気持ちの変化が起きた場合

最初は「キーパーをやってみたい」という気持ちがあって始めたポジションでも、小学生年代では「やっぱりフィールドをやりたい」と気持ちが変化するケースもあります。

タイミングや期間によりますが、例えば小学4年生から始めて5年生になった時、1年間キーパーをやったけどやっぱりフィールドがいい、と選手が言い出したら基本的にはフィールドに戻します。
もちろん、理由を聞いたり継続を進めたりするケースもありますが、基本的には選手の考えを尊重します。

ただし、「タイミングや期間」と書いたのは、ポジションに限らず「責任感がないのは困る」というケースです。
例えばもう2年間ずっとキーパーとしてレギュラーでやってきたのに6年生の途中で、残り半年で卒業という期間・タイミングであればフィールドに戻すことはないと思います。(勿論事情による)
「自分で選んで今までやってきたのだから、残り少ない期間最後までやり遂げなさい」と教育することも大事です。

この辺のタイミングや期間はコーチによって異なると思いますが、常識的な範囲で考えることが重要です。

誰もキーパーをやりたがらない場合

チームによっては「誰もキーパーをやりたがらない」というケースもあります。
実際僕も経験があり、6年生卒業まで正ゴールキーパーがいない状態も経験しています。

このような場合は、公式戦では数名を選手も納得した上でフィールド兼キーパーで登録(3〜4名)し、公式戦以外ではある程度順番にまわします。

なぜある程度かというと、一人一人メンタルや立ち位置が違うので割合に考慮する必要があります。
例えば「失点したら文句を言われるのが怖い」「失点してもあまり気にしない」など選手たちのキャラクターや立場はそれぞれなので、公平性を保ちなおかつチームの雰囲気を良くして行くためにも、全員必ず同じ時間ではなく、微調整は絶対必要になります。

また、誰もキーパーをやりたがらないケースでは、無理やり一人にやらせたり、特定の選手が長い時間キーパーだけをする、ということは避けなければなりません。

フィールドの選手で「コーチがサイドバックでプレーするように指示しているのにフォワードをやりたい」などと言う「わがまま」とは違って、「ゴールキーパーは特殊なポジション」であることを理解する必要があります。
フィールドは選手が「このポジションをしてみたい」とコーチに伝えるのは別に悪いことではありませんが、決定するのはコーチです。
反対にキーパーは特殊なポジションですので「選手の納得・了解」が必要です。

誰もやりたがらないケースの試合出場時間は?

キーパーをやりたい選手がいなくても試合では必ず誰かがやらなければなりません。
上述したように、公式戦は数名の選手を順番で、それ以外の試合では全員に出来るだけ均等になるようにとお話ししましたが、では、出場時間をどのように考えるべきでしょうか?

僕の場合、誰もやりたがらないケースではキーパーとしてプレーしている時間は出場時間に含めません。あくまでもフィールドとしてプレーした時間のみをカウントします。
そうしないと「やりたくはないかも知れないけど試合には出場させている」ということになるので、これを避けるために、どれくらいフィールドでプレーしているかを出場時間としています。

(専門でやりたい子はGKの時間を出場時間としてます)

半分やってみたいケース

このケースの場合は、文字どおり練習も試合も半分はキーパーとして行い、半分はフィールドでプレーさせます。中学生年代へ進むと「どうするかを決断」する時期かなと思いますが、小学生のうちはこれでも構いません。

ただし、いくつかのケースによっては異なります。

①「チーム内に半分キーパーをしたい選手が一人の場合」

前半はキーパーとして出場し、後半は全てフィールドとしてプレーさせることはありません。
そうするとフル出場する形になるのでこれは避けます。
何故なら、このケースは選手にとってかなり都合が良い状態、つまり「GKもフィールドも両方やりたい」というのは本人の意思であって、コーチがそれを聞き入れている状態です。

②「チーム内に専門でキーパーをする選手がいて、半分キーパーをしたい選手が一人」

基本的には公式戦は「専門でやりたい子」を優先します。その他の試合で「やってみた子」を時々させるのが良いかなと思います。
GKは専門ポジションなので専門的にトレーニングをしている選手が優先です。

保護者はどう考えるべきか

これは僕の今までの経験とコーチの立場からの持論ですが、自分の子どもがキーパーをやりたいと言い出したらそのままやらせてあげるのが良いかと思います。
時々「キーパーは失点した時にみんなに文句を言われたりするからさせたくない」と考える方もいらっしゃいますが、そのようなポジションを「自らやってみたい」と思えるのは素晴らしいことではないでしょうか。
スポーツでは「内発的動機づけ」の部分がとても重要になりますし、子どもたちは自分のためにサッカーをし、プレーします。
なので尊重してあげることが大事です。もちろん「無理やりキーパーをやらせる」ことはいけません。

また、もしチーム内でキーパーをしたくないのに無理やりやっている状態ならコーチにきちんと相談するのが良いでしょう。
全てではありませんが、特にデリケートな問題に関しては指導者には説明責任があります。

前述したように「キーパーは特殊なポジション」なのでコーチがどのように考えているかを聞く必要があります。

全ては内発的動機づけから始まる

最後に、キーパーを続けて行くとなった時に『将来性』を考える方も今まで多く見てきました。
例えば両親があまり身長が高くなく、自分の子どもも将来あまり背が伸びないだろう、そうであればキーパーとしてやっていくのは難しいのではないか。
そう考えるのは理解できます。子どもにそのように伝えても良いと思いますが、いずれにせよ「最も尊重すべきはこどもの意見」です。
アドヴァイスをすることはできても「決定は子ども」がする方が良いでしょう。

例えば僕が、足がものすごく遅くて、身長も高くないとした時に、自分の子どもが「陸上で短距離をやりたい」と言えばやらせますし、背は低いけど「バレーやバスケをしたい」と言えば了承します。

全てにおいて、まずは「本人がどのように思っているか」ではないでしょうか。

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