
こんにちは。講師のカズです。
ジュニアサッカーの指導で、子どもたちの「声出し」が少なくて活気がなかったり、ボールを要求する声がなくて、それを改善するためにどう指導したら良いか分からないということはよくありますよね。
高学年になると「もっと自分たちで声をかけあってプレーできるようにしたい」とコーチとしては考えるところです。
コーチが求めるのは「もう一点とろう!おー!」などの盛り上げる声だけではなく、もっと具体的な「選手どうしで指示を出す声」ですが、なかなか上手く行きません。
実際に指導現場で起こるいくつかのケースでは
・声を出してプレーできない
・試合中にどんな声を出していいか分からない
・練習では出るけど試合になるとでない
・そもそも練習でも出ない
といった課題が挙げられます。
今回は私が実践している試合中に選手たちどうしで声かけするようになる方法について解説します。
✔︎Contents
①チーム全体のプレーの方向性が決まっていると声が出しやすい
②「問いかけるという方法」だけでは実際に声が出ない
③声を出さないといけない練習を組むがそれだけでは不十分
④まとめと更に深掘り
①チーム全体のプレーの方向性が決まっていると声が出しやすい

最初に結論ですが、試合中に選手どうしで声かけ(コーチング)できない大きな原因は
「チーム全体のプレーの方向性が明確でない」
という理由が挙げられます。
この指示の声がでない問題は「今のこの場面ではチームとしてこうする」といったチームの方向性が薄い場合に出てきます。
いくら選手に「フリーだったらボールを呼ぼう」とか「声を出したら味方を助けられるよ」と諭してもなかなか改善にはつながりません。
なぜなら選手の心境としては
「指示を出す必要性は分かるけど、いつどんな指示を出していいか分からない」
「間違った指示を出すのは嫌だ」
と思うからです。
プレーの方向性とは共通認識
専門的に言えばプレーモデルですが、ここではカンタンに「チームとしての共通認識」としましょう。
例えば
「サイドから攻める時にスペースがなくて難しい場合は一度下げてサイドを変える」
「サイドで崩す場合はコンビネーションを使う」
「ボールを失ったら近くの選手が素早くプレスをかける」
などの「チームとしての約束事を明確化する」ことがチームの共通認識(各選手が同じシーンで同じイメージを持つこと)につながり、それによ「チーム全体のプレーの方向性が明確」になります。
同じ認識だから指示が間違えにくい
例えば「今のところはバックパスでしょ」「今のところはワンツーだよ」「失ったからすぐにプレスに行けよ」
といった「選手どうしのイメージの共有が増えてくる」と選手どうしで自然と声が出やすい状況になります。
なぜなら「共通認識は全員が同じことを考える作業」なので、指示として間違えにくいからです。
余談ですが、なぜチームの中で発言力がある選手は自然と声が出るのかは『自分が考えていることは正しい』と思っているからです。
試合中にコーチが選手に指示を出す時は「自分の中の正解」を伝えていますよね。
それをチームの共通認識としてプレーの方向性に結びつけます。
コーチのひと手間を加える
そのように「共通認識」が出来上がってきたらあとはコーチの一押しです。
例えばセンターバックの選手に
コーチ:「今のところはサイドバックが無理やり攻撃しようとしたけどチームとしてはどうしたらいいの?」
選手:「一度下げてサイドを変えた方がいいです」
コーチ:「じゃあ、サイドの選手はプレスを受けて見えていなかったから次は後ろから『下げろ』『変えろ』とコーチングしよう」
コーチ:「(サイドバックの選手に)もしサイドで詰まったらCBがコーチングするからその指示を聞こう」
といった感じで「考えていることは間違っていない」ことを肯定して「コーチングに関する相互理解」を深めるように促します。
②「問いかけるという方法」だけでは実際に声が出ない

ここで私も最終的には「選手に問いかける方法」を使うのですが、その前の「共通認識の段階」が整備されていないとなかなか声が出ません。
一般的な
「今のはどうしたらいい?」
「他に方法はなかった?」
などの問いかけから選手に答えを自ら考えさせ、それが試合中に声かけをするアクションにつながるという方法は、私の経験からするとかなり難易度が高いものでほとんど上手くいきません。
なので普段のトレーニングの中で「共通認識」という時間のかかる作業を行い下地を作っておく必要があります。
③声を出さないといけない練習を組むがそれだけでは不十分
「選手の声が出ない」の解決方法として
「練習の中に声を出さないと成功しないようなメニューを組む」
という方法がありますが、実際にそのような練習を行うとある程度の声は出ます。
まずは「そもそも声がでない」のであれば、練習で質を問わずに量を確保しましょう。
最初の段階として
「声を出すことが恥ずかしくない」
「コーチングの質より先に量を出させる」
という意味では使えます。
しかし、それが直接「試合中に声が出る」ことにはつながりません。
パスを出す・受ける前に「名前を呼ぶ」「ヘイ!」と要求することは練習でも促せますが、試合になると「ここでパスをもらうことが合っているのか?」という不安から「間違えたくない心理」が働き、選手の口が重くなります。
そいうった不安が解消されなければ、やはり「指示を出す声」にはつながりませんよね。
繰り返しますが、「試合中に選手どうしで声出し(コーチング)ができるようになる」にはやはり「チームのプレーの方向性の共通認識」がポイントになります。
④まとめとオススメの深掘り記事
今回はジュニアサッカーにおいて「試合中に選手どうしが声かけ(コーチング)できるようになる方法」について解説しました。
ここから更にテーマを深めたい方は下記の記事を参考にどうぞ。
【選手をやる気にさせる】『褒めるフリーズコーチング』〜4つのメリットとデメリット〜